ツーリングの要件を満たす、バイクウェアの例

前回、整理したツーリング向けバイクウェアの要件

  • プロテクター
  • 防水性
  • 温度調節 (ベンチレーション)
  • バタつきを防ぐ

を満たす製品を、この記事ではいくつか紹介したい。

ちなみに、「プロテクター」と「バタつきを防ぐ」というポイントは、ほとんどのバイク専用ウェアが満たしている要素なので、この記事ではそれ以外の「防水性」「温度調節」に注目して説明する。

温度調節 (ベンチレーション) と防水性の両立

これは、胸、腕、背中にベンチレーション (通気の仕組み) があり、暑い時期でもそれらを開けるとかなりの通気性があり、寒く感じるときは閉めるだけで対処でき、「温度調節」がしやすい。また、このフルイヤージャケットには、着脱式の透湿防水ライナーと、中綿入り保温ライナーが着いている。特に前者を内側に着けておくと、別途レインウェアを上に着込まなくても、雨の中バイクを走らせられるのが便利だ。つまり前回挙げた要件の「防水性」も満たしている。

ただ、難しいのは、透湿防水ライナーを付けて「防水性」を満たした状態だと、ベンチレーションがふさがれてしまい、機能しないことだ。つまり「温度調節」のベンチレーションと「防水性」が同時に両立しないということである。

この 2 つの要素を両立できるモデルとして

がある。

これはインナーがなくても単体で防水性を持つため、暑いときはインナーを外す作業をしなくてもベンチレーションを活用できる。ベンチレーションも胸と背中に大型のものがあり、かなりの快適性を期待できる (実はまだ着てバイクに乗ってみていないのだが)。また、これと対になったパンツもある (こちらは昨シーズン大活躍してくれた)。

まとめると

ベンチレーションと防水性が両立するモデルはそんなに多くないけど、便利

ということである。

通気性と撥水性の両立

防水モデルは、雨を服の内側に入れない。ただ、透湿性 (服の中の蒸れを解消する力) は一定あるものの、綿やポリエステルが自然と備えている通気性、風を通す性質はない。ゴアテックスなどのレインウェアのように、もっと雑に言うと雨ガッパのように「蒸した」感じになってしまう。蒸し暑い時期は特に不快に感じる要素だ。つまり、通気性は服が本来持っている、快適性の大きな要素になっている。

上記の DRYMASTER エクスプローラーパンツは、太ももの前後にベンチレーションが付いているため、バイクに乗っている時は一定の通気があり快適だが、バイクを停めてお店に入ったりするとどうしても蒸す感じがある。そのため、着る時にちょっとした覚悟が必要だ。

以前、脚で山道を歩くハイキングの際、雨は降っているが横殴りの雨ではないというくらいの時に、熟練のガイドの方がゴアテックスのような防水性はないものの、撥水性と通気性のある山用パンツを履いていることがあった。これだと、多少の雨でも内部に染み込まず、表面で弾いてくれる (ずぶ濡れになるような状況だと染み込んでしまうが)。上着のほうが濡れやすいし、脱いだり着たりもしやすいので、パンツだけこういった素材を使うというのは理にかなっていると思った覚えがある。

夏の暑い時期向けに、バイクでも同様の機能を持つ製品はないかと思って探していて最近見つけたのが、TAICHI のクイックドライ素材だ。これは通気性と撥水性を両立している。

なんと、またもや TAICHI 製。DRYMASTER エクスプローラーシリーズとのセットで、このメーカーは機能性素材に強みを持つのか? と思っているが、実際のところ、これがどれくらい雨を弾いてくれるのか、通気して涼しいのか、まだ身に着けてバイクに乗ってみていないのでわからない。今乗っている Tracer9 はハーフカウルが付いていて、風雨をかなりよけてくれるので、その点とセットで期待している。

これらの要素は常にすべて必要か?

今回は防水性とベンチレーション、通気性と撥水性のいいとこ取りの例を説明しているが、これらはいつでも必要となる要素ではない。

気温が 28 度を超え、天気がよく蒸し暑い時期は通気性を取るしかないので、フルメッシュジャケットを着るので良いと思う。北海道ではフルメッシュジャケットはいらないという意見も目にするが、住んでいる者としては、暑くて正気を保つのが難しいような日もあるので、そういった日には必要になってくると実感している。

一方で、気温が常に 15 度を下回るような寒い状況であれば、ベンチレーションや通気性を気にする必要はない。中綿の入った暖かい格好をすれば良いと思う。

どっちつかずの、暑かったり、寒かったり、雨が降ったり止んだりする時が問題なのだ。そういったときはこの記事で紹介したような、複数の要素を両立できるウェアを選ぶと便利である。